【戦コンの土台をつくる】思考力を高めるためのトレーニング法5選
今回はケース対策というより、より本質的な「思考力」を高めるためのトレーニング方法を紹介します。
フレームワークを学んだり、思考の土台となる様々な知識をインプットすることも当然重要ですが、情報量ではなかなか差がつきにくい昨今、そうした情報を編集・加工し・リンクさせて、自分なりの結論・言葉に落とす、という能力が重要になってくると思います。
コンサルを始めとした「思考のプロ」たちの著作の中から、日常で取り入れられる習慣・トレーニングをいくつか紹介します。
①大前研一:思考回路を組み立てるためのトレーニング(「考える技術」より)
かの大前研一氏が、マッキンゼー入社したての頃に実践されていたトレーニング方法です。
・通勤電車で見た吊り広告を題材に「この会社の社長に売上を伸ばしてほしいと頼まれたら、自分ならどうするか」を考える
・次の駅に着くまでに「こうすれば売れる」といった仮説を立て、そのためにどんなデータを収集し、分析しなければならないかなどを頭の中で組み立てる
大前氏の場合、これを毎日繰り返すことで、たいていの問題については、だいたい三分あれば問題解決のプロセスを組み立てられるようになったそうです(それはちょっとすごすぎますが)。
大前氏は上記のトレーニングに加えて、自分の今の仕事の中でできるトレーニングとして「自分が二階級上のポジションにいたらどうするか」を考えることを推奨されています。
係長なら部長、課長なら取締役の立場で考えてみることで、目の前の事象をより経営目線で俯瞰して考える癖をつけることができます。
➁三谷宏治:発見型読書法(「戦略読書」より)
元BCG、アクセンチュアで、「経営戦略全史」などの著作で有名な三谷氏が紹介されているトレーニング方法です。
書籍でも記事でもいいので、何かの情報に当たる際に以下の5つの視点で読むことを推奨されています。
・対比:過去の事例や他業態の話と、目の前の情報を「対比」することで、情報に対して客観的なスタンスを築く
・反常識:目の前の情報の中で、これまでの当たり前を覆した「反常識」を見つける
・数字:情報の中に出てくる数字に着目し、必要なら四則計算してみてインパクトや意味合いを探る
・一段深く:目にした情報に対して、疑問点をリストアップして調べる、友人や同僚と議論する
・抽象化:情報の抽象度を上げ、本質を考えることで、他の業界とのつながりや差異をはっきりさせる
日々接する情報についてイチイチここまでやり込むのは非現実的ですが、自分が興味を持った・面白いと思ったニュースについて時間をとって、こうした視点で深めてみるのはよいトレーニングになります。
大量のニュースを特に考えもせずにインプットしまくるよりも、いくつか数を絞り、上記のような視点で深堀る方が、思考のトレーニングという意味では間違いなく有益です。
なお、「抽象化」の習慣化についてはSHOWROOMの前田社長も「メモの魔力」の中で言及されています。トレーニングとしてではなく、本当の意味で仕事に活かすための習慣に昇華されているのだと思います。
③西村博之:会う人を「モデル化」してみる(「無敵の思考」より)
彼はいわゆるコンサル的なゴリゴリのキャリアとは無縁の人ですが、徹底した仮説思考の人で、彼の本を読むと、日常を楽しむ・幸せに楽に生きる方法論としての仮説思考を推奨している感があります。
彼は人と会った際に、いくつか質問をしてその人を「モデル化」するそうです。
「こういう仕事で、こういう人は、こういう考え方をするだろう」という予想をぶつけてみて、合っていたら「〇」、間違っていたら「×」で修正する、というやり方です。
これを続けることで、数パターンのモデルが見えてきて、「このパターンにはこう」といった型がわかってくるので、「簡単に頭がよく見せる」ことができる、と言っています。
「仮説思考」というと非常に仰々しい響きがありますが、このように日常生活で当たり前の(しかも楽しんでできる)習慣にすることは一つのゴールなのだと思います。
ちなみに、同書の中で、ひろゆき氏は「長く役に立つ本を読む」ことを勧めており、彼のいう「いい本」の条件として以下の5つを挙げています。
・今後10年以上も影響を与える「技術」や「文化」をテーマとしている
・結論に至る「経緯と理由」に筋が通っている
・「資料」から組み立てられていて、個人の感想を書いているわけではない
・一般的な「常識」とは違う結論や発見がある
・単純に読んでいて「おもしろい」
これはかなり本質的な「いい本」の選択基準であるように思います。
この基準で彼が選んでいるのは、「銃・病原菌・鉄」や「コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった」といった著作です。
④ちきりん:マーケット感覚で考える(「マーケット感覚を身につけよう」より)
コロナ禍で「Zoom社の時価総額が、航空最大手7社の合計を超えた」ことがニュースになりましたが、そもそもコロナ以前には「Zoomが航空会社の競合」というのがピンとくる人はそれほど多くはなかったのではないでしょうか。
ちきりん氏は5年前に出た「マーケット感覚を身につけよう」の冒頭で、「ANAの競合が(zoomのような)ビデオ会議だと気づく能力が『マーケット感覚』であり、それはコンサル的な論理的思考とは異なるものだ」という主張をされています。
具体的に、この「マーケット感覚」を鍛える方法として提唱されているのは以下です。
これだけ見ても抽象的でよくわかりませんが、強調されているのは、ブログを書く・アプリを作る・モノを売るなど、何でもいいので、まずは市場の中に身を置いてみて、やりながらその仕組みを学び取ろう、という姿勢です。
⑤山口揚平:メタ思考のための方法論(「1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法」より)
元M&Aコンサルで、現在思想家&事業家として活躍されている山口揚平氏の方法論です。
著作タイトルがかなりユルめなのですが、内容は相当本格的な「考えるとはどういうことなのか?」の核心に迫る内容となっています。
山口氏曰く、「メタ思考」とは「対象を一度抽象化して本質に迫り、再度各論に落とす思考のこと」であり、メタ思考を通じて物事の最も重要な因子(レバレッジ・ポイント/ホットボタン)を見つけることが重要と主張されています。
そして、メタ思考で考えるためのツール・手法として、以下の4つを紹介されています
紹介されているツール自体はいずれも基本的なものですが、重要なのはこういう当たり前のツールをいかに”使いこなし”て本質を考えられるかどうかです。
同書の後半では、山口氏がこうした方法論を基に、様々なテーマ(貨幣、仕事、産業など)について思考を巡らせており、こうした思考法を実践するのがどういうことかを掴むことができます。
⑥田川欣哉(Takram):センスを磨く付箋トレーニング(「イノベーション・スキルセット)より」
ここまで紹介してきた左脳的な思考法とは違って、昨今重視されている右脳的なデザイン思考を鍛えるトレーニングです。
著者の田上氏はデザインファームのTakram代表で、デザイン思考に基づく、企業のイノベーション支援を手掛けられています。
田川氏はデザイン思考の基礎となる「センス」を磨く方法として、以下のようなトレーニングを提唱されています。
・青、赤、黄色の付箋を用意する
・何かしら写真や広告の掲載が多い雑誌などを用意する
・写真・広告に対して、「いい」と思ったら青、「ダメ」と思ったら赤、「どっちでもない、わからない」と思ったら黄色をつけていく(即断即決でやる)
・上記を通して、好き/嫌いの解像度を上げて、黄色の付箋を減らす
・また、赤や黄色をどうすれば自分なりの青に変えられるのか踏み込んで考える
今までこうした「センス」を鍛える方法論というのはあまりなかったですし、手軽にできて、かなり実践的な方法論だと思います。
今後、コンサルタントも左脳重視の論理的思考だけでは付加価値が出しにくくなっていくので、こうしたトレーニングによるデザイン思考の基礎づくりも重要になってくると思います。
いかがだったでしょうか?
地頭という言い方をすると、なかなか訓練によって変えることができない感じがしますが、地道に日常の中で訓練を習慣化していくことで思考力を高めていくことが(ある程度は)できるのでは、と思います。
取り入れやすいものから、まずは初めてみてはいかがでしょうか。
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