【勉強法、読書術、ケース本】戦略コンサルおすすめ本リスト
久しぶりの更新となります。
今回は私が転職期間~コンサルになってから読んだ本の中で特によかったものを紹介します。
「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」みたいな有名どころは除いて、あまり取り上げられないけれど学びが多いものを選んでみました。
■コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法(名和高司 著)
多数あるコンサル本で紹介されている●●思考やフレームワークなどの総決算といった趣の本です。
ただ、本書の目的はコンサルの基本となる思考法や仕事の進め方、そこで使うフレームワークを解説することではなく、その限界を示し、それらの思考法やツールの先にある、コンサルが提供すべき本当の価値を提示することにあります。
著者はマッキンゼーでシニアパートナーまで務めた後、BCGのシニアアドバイザーをやるというなかなかレアな経歴の方で、同じ戦略コンサル(の中でもTOPファーム)であるマッキンゼーとBCGのアプローチがいかに違うのかが明解に述べられている点も面白いです。
マッキンゼー、BCG志望の方はもちろんのこと、コンサル業界に飛び込んだ後で知識や心構えを改めておさらいするのにも優れた1冊です。
ちなみに、著者はかの大前研一氏がまだマッキンゼーに在籍していた時に、配下で働いた経験があり、なぜ大前研一氏がコンサルの神様のように語られるのか、一体彼の何がすごかったのか、という点にも触れられている点でも貴重な本です。
■コンサルタントの勉強法(野口吉昭 著)
あまり有名な本ではありませんが、数多くのコンサル勉強法本の中でも最も実践的といえる一冊だと思っています。
本の中でも触れられていますが、著者の野口氏はマッキンゼーやBCGといったビッグファーム出身ではなく、設計事務所勤務からコンサルに飛び込んだ異色の経歴の方です。
経験がない中、シビアなコンサルの世界で生き残っていくために著者がどんな心構えで、どんな勉強をしてきたのか。そのノウハウが極めて具体的に紹介されています。
特に、集めた情報をいかにして知識に変え、独自の認識や見識レベルまで昇華させるのか、について書かれた部分は非常に勉強になります。
コンサルにとって、事例は単語帳のようなものです。
特に若手のうちは、ファクトから瞬時に高尚な示唆を導くなんてことはほとんどできないので、打ち合わせの場でも「この企業はこういうやり方をしてます」という事例を持ちだせるかどうかはかなり重要です。
ケース本もいろいろありますが、分析がアカデミックに寄りすぎていたり、逆に単にファクトを紹介するだけで分析と呼べるレベルになっていなかったり、なかなか「これだ!」といえるものがなかったのですが、この「一橋MBAケースブック」は純粋に読み物として面白い上に、基本的なフレームワーク(4P、5フォースなど)を実際の企業分析でいかに使うのかを学ぶ意味でも優れたテキストになっています(シリーズでもう1冊ありますが、個人的には「戦略転換編」の方が面白いと思います)。
読むに当たっては、普通に読み進めるだけではもったいないので、目次を見てみてある程度自分なりに粗い仮説を作ってから読んでみると面白みが増します。
例えば、「戦略転換編」には最近身売りの話まで浮上してガタガタの「大塚家具」が取り上げられていますが、それがなぜなのか考えてみる、といった感じです。
今でこそニトリやIKEAなど格安家具チェーンに押されて売上は恐らく落ちまくっているが、そうした企業が台頭する前には競争力があったんじゃないか。
大塚家具はけっこう高級な家具を扱ってるイメージだから、昔はデパートの家具売り場なんかと競合してたのかもしれない。
高級家具市場でデパートから客を奪って売上を伸ばしたが、そもそも景気が停滞する中で市場全体の単価が低下、価格競争になって苦しくなったのか。
そういえば、ニトリもIKEAもSPAだな。大塚家具はどうなんだろう。
といった感じで、各ケースがどういうストーリーなのかをぼんやりと思い浮かべて、そのストーリーに説得力を持たせるためにはどんなデータを、どういう形で見せるのがよさそうか、まで考えてみると、かなり充実したコンサルの自主トレになります。
大前研一氏もマッキンゼーに入りたての頃は毎日の通勤時間に電車の広告を見て「自分がその企業のコンサルを頼まれたら何をやるか」を考えるのを癖にしていた、という話を聞きました(この話の他、大前氏の思考訓練法を知るに当たっては以下がオススメ)。
ちなみに、以下の「勝ち組企業の『ビジネスモデル』大全」も教科書的に使うには便利な一冊です。一橋MBAに比べると、個々の企業の分析はさらっとしていますが。。。
■戦略読書(三谷宏治 著)
BCG、アクセンチュアで活躍し、「経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)」や「ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)」で有名な三谷宏治氏の読書本です。
コンサルとして突き抜けるために、どんな戦略で読書に臨むべきか、という「読書戦略」が紹介されています。
他のコンサルが読んでいるようなビジネス本ばかり読んでも個性のないコンサルにしかなれない、ポートフォリオを組んで読む本のバランスをとり、読み方も変えていくべき、という主張には非常に納得感があります。
著者の個性が伝わる読書リスト(SFにかなり寄っている)が得られるのも大きなメリットです。
なお、山口周氏の「外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術」も優れた読書本です。こちらはより実践的に「コンサルやる上で最低限何を読むべきか」と「その知識を仕事に直結させるにはどうすべきか」がコンパクトにまとまっています。
■采配(落合博満 著)、調理場という戦場(斉須政雄 著)
- 作者: 落合博満
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)
- 作者: 斉須政雄
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
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全くコンサル本ではありませんが、プロフェッショナルとして働くことの意味を考える上で読んでおきたい一冊です。
私は前職もかなりハードワークの環境にいましたが、やはりコンサルはハードワークの程度、個々人にかかるプレッシャーが別格だなと日々感じます。
それだけ高い単価をもらって仕事しているので、当然といえば当然なのですが、身体的にもメンタル的にも追いつめられる中で、なんとか続けていくためには自分の中に何かしらの軸ーそれは仕事への誇りとも言い換えられると思いますがーが必要になってくるように思います。
スポーツでも、料理でも、どんな業界でも「本物」と呼ばれる人たちの言葉には、職業を問わずに通用する哲学があり、流儀があります。
こうしたプロ論を読むことの意味は、苦しくなった時に自分を客観視して、もうひと踏ん張りするために意識をワンランク上に持ち上げることにあります。
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