戦略コンサル敗戦記

現職コンサルによる、戦略コンサル転職の経験談と、そこでの学びと苦悩とかとか。ケース面接の練習相手やコンサル転職相談やってます(コチラから⇒con.con.consul@gmail.com)

戦略コンサルへの挑戦と挫折

こんにちは。某メーカーのマーケティング職として働く28歳です。

今年の2月からおよそ8ヶ月間、経営コンサルタント(特に”戦略系”と呼ばれるところ)への転職活動を続けてきました。

結論から言うと、2~3社運よく引っかかったものの、戦略コンサルと聞いてすぐに名前が浮かぶようなファームはほぼ全敗でした。

ある程度の時間と労力を投じて準備したつもりですが、やはりそれだけではどうにもならない面が多分にある、「戦コンってつくづく難しいなぁ」というのが終わってみてのしみじみとした感想です。

ここでは8ヶ月間の戦コン転職での私の実際の体験や対策法を書いていこうと思います。ひとつの”失敗例”として、これから戦コンを目指す方々の参考になれば幸いです。

戦コン転職のきっかけ

私は東大の文系学部を卒業し、某メーカーのマーケティング職としてキャリアをスタートしました。本当は外銀やコンサルに行きたかったのですが、第一志望にしていた外銀に最終面接で落ちてしまい、他に行くところがなかったため、内定をキープしておいた今の会社に就職しました。ちなみに、コンサルはマッキンゼー、BCG、ATカーニーを受けたのですが、マッキンゼーは筆記落ち、BCGは1次面接落ち、カーニーは2次面接落ちでした。

会社自体に特に大きな不満があったわけではないのですが、3年やって仕事の内容に飽きてきたこと、特に憧れる上司のような存在もおらず、社内での今後のキャリアが見えないこと、などの理由で転職を決意しました。

転職を思い立ったときから候補は戦略コンサルだけでした。アホみたいな理由ですが、「戦略」「コンサル」って響きがカッコイイし、マッキンゼーとかBCGとか、なんかよくわかんないけどスゴい感に憧れを持っていたからです(まあ、コンサル目指す人だいたいこんな程度の理由だと思いますが)。

スタートダッシュでいきなりコケる

普通まともに転職活動するとなると、転職サイトや転職エージェントにまず登録、連絡して、今後のキャリアの希望を具体化して、候補の会社をリストアップして・・・というステップなのでしょうが、めんどくさかったのと、そこまで大して準備しなくてもサクッと受かったりするんじゃないか、という謎の自信が当時はあったため、いきなりATカーニーの第二新卒にホームページからエントリーしました。

なんでカーニーかというと、「第二新卒」という枠で募集していたのがカーニーだけで、なんか普通の「経験者採用」よりもハードルが低く思えたというのが理由です(ただ、通常の経験者採用と第二新卒で厳密にプロセスが分かれているかというと、そんな感じでもないような印象を受けました)。

で、結果は「最終落ち」。割とすんなりと最終まで行けたので、途中まで舞い上がっていたのですが、結論そんなに甘くありませんでした。

カーニーの選考の具体的な内容は別の記事で触れることにしますが、この失敗でようやく「ちゃんと対策しないと絶対無理」ということに気づき、準備を始めることになります。

見切り発車で受けて落ちてしまったことは後々非常に後悔しました。「今なら受かるのになぁ」と思ったところで、一度受けたファームはもう受けられないからです。

有名どころの戦略ファームは非常に数が限られているので、当たり前のことですが、私のような見切り発車で”とりあえず受けてみる”というのは絶対やめた方がいいです。

エージェントに泣きつく

カーニーでコケたことで、自分ひとりでの対策は無理だと悟ったので、「コンサル 転職 エージェント」と検索して出てきた「ムービン」と「コンコード」に連絡しました。

すぐに連絡をもらって担当者との面談がセッティングされました。面談では、今の自分の状況を伝えて、コンサル各社の現在の採用状況を教えてもらいました。

エージェントの選び方や使い方については別の記事にまとめますが、1回の面談でコンサル各社の特徴、現在の採用意欲、難易度などの一通りの情報が得られる上、どういう順番で受けるのがよいかという転職活動全体の進め方まで相談できるので、使わない手はないし、必須だと思います。

私は上記の2つのエージェントどちらとも面談したのですが、結論は同じで「BCGを第一目標として進める」という話になりました。今めちゃくちゃ業績がよく、めちゃくちゃ人をとっているので、とっても入りやすい!!というのがその理由でした(結果的にBCGには死ぬほどあっけなく落ちたのですが)。

ケース、ケース、ケースの日々

コンサルといえばケース面接ということで、エージェントと週1回ペースで面談しながらケースの練習をするとともに、小規模のコンサルファームを受けて実践練習を積みました。

私も全く知らなかったのですが、世の中にはBCGやマッキンゼー出身の人たちが立ち上げた中小規模のコンサルティングファームはけっこうたくさんあるみたいです。

そうした中小規模のファームも一応大手戦コンと同じようにケース面接を課しているため、大手ファームを受ける前にケース面接の数をこなして慣れるという意味では非常によい訓練になります(こういう理由で受けられるファームには申し訳ないですが、まあ仕方ないっすよね)。

ケース面接を体験された方は実感されていることだと思いますが、ケースは本などで自分で対策するのと、実際に人前でやるのでは感覚が全く違うので、どれだけ実際の場数をこなせるかが非常に重要になります。

大手戦コン、選考開始

中小規模コンサルである程度練習を積んだのち、いよいよ本命のマッキンゼー、BCGといったファームに選考に入りました。

どのファームも第一次選考はWEBテストかペーパーテストです。ここで落ちたら泣くに泣けないのでいろいろ対策して受けたのですが、Strategy&(前のブーズ・アンド・カンパニー)、ローランドベルガーはここで落ちてしまいました。

その他はテストは無事突破し、ケース面接の段階に入りました。ケース面接と一口に言ってもファームによってその形式は様々で(ひとつのファームの中でも面接官によって形式が違ったりもする)、エージェントから各ファームの過去問や以前の受験者の体験談などの情報をもらった上で対策しました。

各ファームの個々の面接内容は別の記事で詳しく触れますが、私の場合、典型的な市場規模推計タイプのケース(「東京のタクシーの台数は?」「サーフィンの市場規模は?それを2倍にするには?」など)では高確率で通過したものの、BCGのような特殊な1問1問型、マッキンゼーやベインのような細かい数字が設定されたデータ読み取り型には非常に苦戦し、大半がお祈りとなってしまいました。

マッキンゼーの選考では、面接官からいくつかのデータが手渡され、「そのデータから読み取れることを言って」「じゃあ、そのファクトから社長にどんな提案をする?」といった質問をされたのですが、何を言っても「そんだけしかないの?」「えー?それが提案で本当にいいの?」と鼻で笑われ、最終的に「もう、いいや」とケースを途中で打ち切られてしまいました。その場で落ちたことを確信したのですが、自分の馬鹿さ加減を突きつけられた気がして帰り道とても気が重かったのを覚えています。

その後もコケ続ける

マッキンゼーはそもそも望み薄で受けたのでショックはそれほどでもなかったのですが、一応第一志望としていたBCGに一次面接で落ちてしまったのは堪えました。

最初にエージェントと面談した際に作成した候補ファームのリストはどんどんバツ印で消えていき、有名ファーム2~3社と練習目的で受けた入る気のない小規模ファームが残るのみとなりました。

この頃が精神的には最もつらく、つまらない現業に忙殺されてケースの練習は進まず、「こんな仕事、もうすぐ辞めてやる!」という気持ちをよりどころにしようにも、本当に転職できるかすら全く見えないという状況が続きました。

転職活動の終わり、なんとか滑り込む

第一志望だったBCGに落ち、マッキンゼーには当然落ち、ということでコンサルとしての王道のキャリアには全く乗れなかったのですが、結果的にそうした大手ファームの後に名前が挙がるくらいのそこそこ有名なファーム2社、多くの人は名前も聞いたことがないような小規模ファーム2社からオファーをもらいました。

8ヶ月前には予想もしていなかった結果ですが、とりあえずちゃんと決まったことへの安堵感でいっぱいです。現業を続けながら週2回とか面接が毎週入るという日常には身体的にも精神的にも疲弊していました。

「BCGは今なら誰でも入れる」というようなことが言われていますが、私のような凡人にはやはりコンサル業界というのはとんでもなく入るのが難しい業界です。どれだけ準備をかけて対策しても「そもそもの頭のよさの違い」というどうにも超えられない壁を実感せずにはいられませんでした。

しかし、ファームにもいろいろありますし、ケースの出来しかみないというファームもあれば、もっとこれまでの経験やその人のマインド重視とのところもあり、多少頭のよさが足りなくても泥臭く対策すれば普通の人でも滑り込める余地は十分あるように感じました。

今後の記事では、各ファームの選考経験や実際にとった対策、読んだ本などをご紹介したいと思います。